こんばんは。樹里です?
ずっと楽しみにしていた、スーパー歌舞伎の「もののけ姫」を観てきました。
私にはふだん歌舞伎を観る嗜みがないのですが、圧倒的エンターテインメントに終始心を奪われておりました。
幕が上がった瞬間、舞台はたちまち一つの森へと姿を変えます。物言わぬ木々は、ただそこに在るだけで威厳を湛えこちらを見返してくる。自然と背筋が伸びました。そして、その場所で生きる数多の獣たち。彼らは人間よりも遥か昔から森に棲んでいるのです。
にもかかわらず人間たちは、傲慢にも自分たちの都合で世界を測ろうとしている…そんな感覚を覚えました。
人間は自然界の支配者、というような顔をしながら、その実自然の慈悲のもとで生かされている存在なのかもしれません?
その慈悲を当然のものと思い、母なる自然の逆鱗に触れれば人間などひとたまりもない。「もののけ姫」は、そんな当たり前のことを、説教ではなく圧倒的な美しさで思い出させてくれる作品でした。
私の心に一番残ったのは、アシタカの「曇りなき眼で見定める」という言葉です。
人間は好きなものを正義と呼び、嫌いなものを悪と呼びたがります。けれど現実は、そんなに行儀良く二色には分かれてくれません。
守るものにも正義があり、壊すものにも正義がある。立つ場所が変われば、正しさの輪郭もまた形を変えます。
だからこそ、憎しみに飲み込まれず双方を見続けること…簡単そうでいて、きっと一番難しい生き方なのでしょう。
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それにつけても、歌舞伎ならではの大胆且つ華やかな演出も圧巻でした。森は息づき、祟り神は禍々しく轟き、偉大な自然が劇場いっぱいに広がっていて。
観劇後、街路樹の緑が少しだけ違って見えました。自然は決して遠い非日常などではなく、私たちの日常のすぐ側にあるのだなぁ…としみじみ。
「曇りなき眼」とまではいかずとも、せめて曇ったまま誰かを断定しない人間でありたい。……などと終演後もしばらく哲学者のような顔をしていましたが、実をいうとサンが大変羨ましかったです。
「其方は美しい」
あんな気障な台詞、生きているうちに一度くらいは言われてみたいものです。
もっとも、あれほど曇りなき眼で見つめられたら、きっと照れて目を逸らしてしまうのでしょうけれど?
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樹里